MCナイロンと一般ナイロンの性質比較:設計で失敗しないための完全ガイド
MCナイロンと一般ナイロンの性質比較:設計で失敗しないための完全ガイド
部品設計で最も重要な判断材料の一つは素材選定です。特にMCナイロンと一般ナイロンでは引張強度・耐摩耗性・吸水率・寸法安定性に差があり、用途によって最適な素材が異なります。本記事では、両者の性質を徹底比較し、設計者が知るべき選定ポイントを解説します。
MCナイロンと一般ナイロンの基礎特性
MCナイロンはモノマーキャスティング法で成形され、結晶度が高く内部応力が少ないため、強度や耐摩耗性に優れています。一方、一般ナイロン(ナイロン6、ナイロン66)は射出成形が主流で低コスト・高成形性ですが、吸水率が高く寸法変化や耐熱性に制約があります。
より詳細なMCナイロンの物性については、MCナイロンMC901の特徴に関して解説をご参照ください。
代表物性比較
| 項目 | 一般ナイロン(PA6) | MCナイロン(MC901) | POM(ポリアセタール) |
|---|---|---|---|
| 引張強度 | 60~80 MPa | 96 MPa | 55~75 MPa |
| 曲げ強度 | 50~70 MPa | 110 MPa | 50~70 MPa |
| 衝撃強度 | 中 | 高 | 中 |
| 吸水率 | 高め | やや高め | 低め |
| 耐熱性 | ~80℃ | ~120℃ | ~90~100℃ |
| 耐摩耗性 | 普通 | 非常に高め | 高め |
用途別の選定ポイント
高荷重・摩耗部品へのMCナイロンの適用
MCナイロンは荷重や摩耗に強く、突発的な衝撃にも耐性があります。しかし自己潤滑性があるとはいえ、条件によって潤滑剤が必要になる場合があります。加工では工具摩耗が早くなるため切削条件の最適化が重要です。MCナイロンの加工上の注意点で詳細を確認できます。
寸法安定性が求められる場合のPOMの検討
精密部品やガイド部品では、吸水率が低く寸法変化が少ないPOMが適しています。MCナイロンは強度優先ですが、湿度や温度変化により寸法が変化する可能性があります。MCナイロンとPOMの比較事例はMCナイロンとPOMの比較に関して解説で詳しく紹介されています。
設計上のチェックリスト
- 使用荷重・摺動条件の評価
- 温度・摩耗・振動環境の確認
- 吸水率・温度膨張による寸法変化の予測
- 加工性・メンテナンス性を含めた寿命設計
- 他素材との比較による総合耐久性の評価
よくある質問
MCナイロンは強度や耐摩耗性に優れ、内部応力が少ないのが特徴です。一般ナイロンは成形性が高く低コストですが、吸水率が高く寸法変化が大きい場合があります。MCナイロンの詳細はMCナイロンMC901の特徴に関して解説、で確認できます。
高荷重や摩耗が生じる摺動部品に最適です。ただし条件によっては潤滑剤が必要です。設計上の注意点や加工条件についてはMCナイロンの加工上の注意点、で確認できます。
寸法安定性が求められる精密部品ではPOMが適しています。一方、強度・耐摩耗性を重視する部品にはMCナイロンが適します。
まとめ
MCナイロンは、耐摩耗性・強度・高温耐性に優れ、摺動部や高荷重部品に最適です。一方で寸法精度重視の場合はPOMも選択肢に含めるべきです。この記事ではMCナイロンと一般ナイロンの性質や比較ポイントを詳しく解説しました。設計者が失敗しない素材選定の判断材料としてぜひ活用してください。